>齋田章

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司馬遼太郎氏の作品 『ロシアについて (北方の原形)』 は、数少ない私の愛読書のひとつである。。。氏が語るコサックの東方遠征は、ソヴェト映画 『シベリア物語』 の中で演奏されるオラトリオ 「シベリア物語」 がバックに流れる中で映し出される、コサックによるシベリア征服の映像をほうふつとさせる。 また、この時代のロシアのすばらしい平衡能力、良心的世論が存在したロシア国家の良質さ、苛酷な漢族商人から 「本然的ないたわり」 のあるロシアへ逃れたモンゴル人たちのことなど、 氏のロシアに対する好意的な語り口は、「ロシア大好き爺々」 を自認する私には、とても心地よい。。。特に、幕末鎖国下の日本に開国を迫るために相前後して来航した、アメリカ合衆国のペリーと、クルーゼンシュテルン、ゴローニン、プチャーチンたちロシア帝国の海軍軍人との人物比較は面白い。
「シベリアの食糧問題は、ロシアにとって恒常的な難問題」 であり、その解決のために、ロシア艦隊を日本に派遣した、という。
司馬遼太郎氏のペリー評はまことに痛烈で、ペリーの人間性をして 「傲岸と卑屈は、しばしば紙の表裏であるという一例」 と談じている。 ペリー提督閣下もまったく形無しである。 「品性のわるさ」 を言われては、武人として、これ以上の不名誉はあるまい。
。。。何はともあれ、この作品の中で司馬遼太郎氏の語る日露交渉史は、シベリア産のエネルギー需給の関係など、将来の両国の善隣関係のありようを示唆しているように思われる。

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