田中圭一

TanakaKeiichi本来、士・農・工・商は職分であり、そのような職分を身分制度として説明すること自体ばかげているのであるが、書物は今もそれを変えることをしない。

多くの村の秩序は、封建社会を維持するために幕府や奉行所が作ったものではなく、村人が自分達の生活を成り立たせるため、自らの意思で作り出したものであった。

江戸時代は士農工商の時代だ、という常識がある。きびしい身分制度のもと、農民は田畑の所有を許されず、重い年貢に苦しめられ、自給自足を強いられたという説明だ。だが、村々に残る資料をみて歩くと、まったく異なる世界がみえてくる。百姓たちは銭を用いて布を買い、それを身にまとって祭りを盛り立てた。また、広い敷地に庭を造り、茶・書・華をたしなみ、俳句をよんで旅をした。その一方で、乏しい資源を大切にし、浪費を抑え、そして元気よく働いた。

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