横光利一

戦はつひに始まつた。そして大勝した。先祖を神だと信じた民族が勝つたのだ。自分は不思議以上のものを感じた。出るものが出たのだ。それはもつとも自然なことだ。自分がパリにゐるとき、毎夜念じて伊勢の大廟を拝したことがつひに顕れてしまつたのである。夜になつて約束の大宮へ銃後文藝講演に出かけて行く。

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