永田千奈

フランス人は、「デモ」と「でも」が好きである。
一つ目のデモは、デモ行進のこと。個人主義のフランス人がどうしてこうもまあ「団結」できるのか不思議になるほど、デモとストが多い。正確にいうなら、「好き」というより、権利を主張するのは当然のことという思いがあるのだろう。実際、デモやストで交通が乱れようと、大半の人はやれやれと寛容に受け止めている。言論のみにとどまらず、「行動」を通して自己主張する彼らの姿は、時に感動的でさえある。
二つ目の「でも」は、逆説の「でも」。「でも、それは君の意見であって、皆がそう思っているわけじゃない」「でも、例外はあるだろう」「でもね」「でもさあ」。はたから見ると「屁理屈」としか思えないときもあるが、ご当人は至極真面目に反論している。小さな子供さえ、親にそして教諭に必死になって反論するのだ。
波風立てることをおそれ、つい事なかれ主義に走ってしまう日本人とは、あきらかに違う彼らのこの気風、いったいどうやって培われたものなのだろうか。

2 thoughts on “永田千奈

  1. shinichi Post author

    考える人とおめでたい人はどちらが幸せか 世の中をより良く生きるための哲学入門

    シャルル・ペパン (著), 永田千奈 (翻訳)

    訳者あとがき

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