大森豪

私たちがサプリメントとして口から摂取したグルコサミンやコンドロイチンは、胃や腸といった消化管で90%近くが吸収されるものの大部分が血漿タンパクと結合してしまうため、有効成分の濃度は極めて減少してしまいます。さらに、他の食物栄養成分と同様に全身にくまなく運ばれるため、例えば、膝の軟骨に到達する有効成分の量は摂取した量の20〜1000分の1とも言われています。すなわち、私たちが膝の軟骨に十分な量のグルコサミンやコンドロイチンを行き渡らせるためには、現在の摂取量の20〜1000倍の量が必要と言うことにもなり、現実的には不可能なのです。

One thought on “大森豪

  1. shinichi Post author

    サプリメントのグルコサミン・コンドロイチンはすべて分解されて全く効果が無いということなのでしょうか?

    by 大森豪

    骨と関節のQ&A・用語辞典

    RICHBONE

    http://www.richbone.com/qa/676.htm

    グルコサミンやコンドロイチン、ヒアルロン酸は、もともと膝関節内の軟骨、半月板、関節液に含まれる正常成分です。これらの成分は加齢とともに減少して軟骨の摩耗や半月板の変性を引き起こし、変形性膝関節症の発症や進行に影響すると言われています。ですから、不足している成分を補う意味ではサプリメントの摂取は妥当かもしれません。しかし、私たちがサプリメントとして口から摂取したグルコサミンやコンドロイチンは、胃や腸といった消化管で90%近くが吸収されるものの大部分が血漿タンパクと結合してしまうため、有効成分の濃度は極めて減少してしまいます。さらに、他の食物栄養成分と同様に全身にくまなく運ばれるため、例えば、膝の軟骨に到達する有効成分の量は摂取した量の20〜1000分の1とも言われています。すなわち、私たちが膝の軟骨に十分な量のグルコサミンやコンドロイチンを行き渡らせるためには、現在の摂取量の20〜1000倍の量が必要と言うことにもなり、現実的には不可能なのです。このように、現時点では経口摂取したグルコサミンやコンドロイチンの体内での動態については不明な点も多く、変形性膝関節症に有効であるという医学的な根拠が証明されているとは言えません。この理由から変形性膝関節症に対するサプリメントの使用には慎重に対処するのが良いと考えます。

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