後藤孝好

自民党が前回衆院選で掲げた公約と現状

  公約 現状
経済 デフレ・円高からの脱却を最優先に、名目3%以上の経済成長を達成 2014年7-9月期のGDP速報値は名目で3%減(13年度は名目1.9%増)。円安は進んだが輸出は伸び悩み
集団的
自衛権
集団的自衛権の行使を可能とし、国家安全保障基本法を制定 基本法は制定せず、憲法解釈変更の閣議決定で行使を容認
特定秘密
保護
記述なし 国民の知る権利を損なう恐れのある特定秘密保護法を制定
原発・
エネルギー
原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立を目指す エネルギー基本計画で「原発は重要なベースロード電源」と明記。再稼働を推進
最優先課題として再生可能エネルギーの最大限の導入を図る 大手電力会社が、固定価格買取制度に基づく受け入れ手続きを中断
TPP 「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対 「聖域なき関税撤廃が前提ではない」として交渉参加
政治改革 議員定数の削減など国民の求める改革を断行 実現せず
社会保障 安心できる制度に向け、弱い立場の人にしっかり援助の手を差し伸べる 生活保護の日常生活費を15年度までに670億円削減
地方分権 基本法制定後5年以内の道州制導入を目指す 法案提出に至らず
基地負担 沖縄をはじめ地元負担軽減を実現する 沖縄県名護市での普天間飛行場代替施設の建設を推進

2 thoughts on “後藤孝好

  1. shinichi Post author

    公約“変質”政権に審判

    by 後藤孝好

    中日新聞

    http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2014111902000057.html

    chunichi


     安倍晋三首相が衆院解散に踏み切る。二〇一二年衆院選で自民党公約を掲げ、安倍政権が発足して二年。これまでに下してきた政策判断には、特定秘密保護法のように公約で全く触れていないもの、交渉参加にかじを切った環太平洋連携協定(TPP)問題など公約から転換したものが含まれる。決定が公約と変わってしまったり約束が実現していないものもある。すべて衆院選の争点になり得る。

     公約を進めようとしたが、期待通りにならず行き詰まっているのが安倍政権の経済政策「アベノミクス」だ。日銀と連携した金融政策で円高からの脱却は実現。大企業を中心に輸出企業の業績は回復し、それに伴う株高で金融資産を持つ富裕層は潤った。だが、期待していたほどは輸出が伸びず、中小企業は原材料の輸入価格上昇に苦しむ。物価高に賃金の上昇が追いつかず、実質賃金は十五カ月連続で減少した。

     他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認は、公約通り実現した。ただ公約した「国家安全保障基本法」の制定には手を付けず、国会審議の必要がない憲法解釈変更の閣議決定によって安全保障政策を大転換した。

     公約から転換したのはTPP交渉への対応だ。国内農業への影響などを考慮して、条件付きで反対を打ち出したが、安倍政権は参加へと踏み切った。

     原発政策も二年前、原子力に依存しなくてもよい社会の確立を明記したのに、政権は九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県薩摩川内市)をはじめ、原子力規制委員会の新規制基準に適合した原発を積極的に再稼働させる姿勢を鮮明にしている。最優先課題とした再生可能エネルギーの最大限の導入は、電力会社が受け入れを中断する事態を招いた。

     特定秘密保護法は、公約に書いていないのに制定した。特定秘密保護法は、権力が握る秘密の範囲が際限なく広がる可能性があり、国民の「知る権利」を侵す恐れが指摘される。世論の反対は今も強いが、安倍政権は昨年末に国会で成立させた。

    Reply

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *