本多良樹

一億総中流の生みの親として2つの世論調査が寄与している。SSM調査と国民生活調査である。現在も継続実施されており、貴重なデータを提供している。いずれにしても、世論調査で「中」が飽和に達し動きがみえなくなると、中流論もしばらく鳴りをひそめた。00年になって2つの月刊誌が奇しくも同じ月に中流崩壊をテーマに特集を組み、肯定論と否定論を載せ、それを契機に久しぶりに甲論乙駁の中流論が見られた。
世の中がバブル期をはさんで厚化粧を落とし素肌を見せるにいたって、「中流」意識調査の結果も世相に合わせ下方に向けた動きを見せた。成長神話としての中流ゲームは歴史的使命を終え、産業社会における階層モデルも力を失ったかに見えたが、IT革命の始まりで、新たに社会的不平等が拡大し、その結果姿を変えた資本家と労働者が生まれ、ふたたび階級社会の復活とその擁護論まであらわれ、今につづいている。

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