五島美術館

Iga1古伊賀水指 銘 破袋
 
伊賀焼は、桃山時代を代表するやきもののひとつ。今の三重県伊賀市で焼かれた釉薬を掛けない焼き締め陶器。本品は、左右に長方形の耳がつき、正面には焼成中の灰がとけた自然の釉薬である若草色のビードロ釉が厚く掛かる。背面は赤く焼き締まり、器全体に窯の中の灰や土が付着する。焼成時に、焼台に底がめり込むようにへたったため、底部には焼台の痕が残る。歪みが強く大きく割れた姿は、桃山時代の武将茶人古田織部(ふるたおりべ 1543~1615)が添えた「今後これほどのものはないと思う」という内容の手紙(関東大震災で焼失)通りのたぐいまれな存在感で圧倒する。籠形(かごがた)水指と呼ばれた独特の姿は、桃山時代の茶人の好みを反映したものだろう。伊賀藤堂家伝来の名品。


2 thoughts on “五島美術館

  1. shinichi Post author

    (sk)

    ただの失敗作だという見方も成り立つが、それでも引き込まれてしまう。

    たぶん作られた時から、水を入れることはできなかっただろう。

    不思議な水差しだ。

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