志條みよ子

SakamotoMutsuko撮られている場所は、晩年睦子さんが客分として務めていたバーの一隅で、カウンターの上には高く盛られた果物皿やガラス製の花瓶などが見え、手元に水割りらしいコップが置かれ、灰皿には煙草の吸いかけが覗いている。
両掌を軽く合わせてカウンターへのせ、上体を少し前かがみにした姿勢を、斜め横から写したもので、まさに明眸皓歯の笑い顔である。きりっと後部に引き詰めた束髪が、豊満な耳朶をそっくり露出させ、頸筋から顎先にかけての線がことに美しい。
眼は大きい一重瞼で、笑い顔のせいか、瞳の黒さが一際に優しい輝きを放っている。モノクロームなので、髪と着物が漆黒に写り、額から鼻梁へのほどよいライトが顔面の白さを一段と映えさせている。愁いの翳りなど微塵もない、上品でしかも清すがしい麗姿麗貌である。

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