言葉は、たいてい、情報を伝える為だけの道具に使われがちで、意味のない言葉の並び、もやもやしたものをもやもやしたまま、伝える言葉の並びに対して、人はとっつきにくさを覚えてしまう。情報としての言葉に慣れてしまえばしまうほど。けれど、たとえば赤い色に触発されて抽象的な絵を描く人がいるように、本当は、「りりらん」とかそんな無意味な言葉に触発されて、ふしぎな文章を書く人がいたっていい。言葉だって、絵の具と変わらない。ただの語感。ただの色彩。リンゴや信号の色を伝える為だけに赤色があるわけではないように、言葉も、情報を伝える為だけに存在するわけじゃない。
私達は言葉の為に、生きているわけではない。私達の為に言葉は存在しているものなんだ。言葉が想像以上に自由で、そして不自由なひとのためにあることを、伝えたかった。私の言葉なんて、知らなくていいから、あなたの言葉があなたの中にあることを、知ってほしかった。
死んでしまう系のぼくらに
by 最果タヒ
あとがき
マッチの詩
不幸であれば許される気がした
愚かなのは自分だということを忘れて、他者をにくむこと
ぼくのマッチ 線香に火をつけるため
きみが死んだときいたから きみに恋をしたんです
愛する人を失うショックで
いい絵を描きたい、詩を書きたい