長崎大学

長崎大学が、BSL-4施設の設置を検討している理由を教えてください。
長崎大学は、これまでの熱帯病や感染症研究の実績を生かして、感染症制圧を目指す国内外の優秀な研究者が長崎の地に集うことで、感染症研究の世界的拠点となることを目指すとともに、世界の感染症制圧のための人材を輩出したいと考えています。これにより世界の安全確保に貢献するとともに、我が国や長崎の安全確保を図ります。また、BSL-4病原体に対処できる組織を整備することで、急速に高まっている感染症のリスクから地域社会を守る能力を向上させることができると考えています。
長崎大学が検討しているBSL-4施設では、どのような病原体を扱うのですか?
WHO(世界保健機関)のマニュアルにおいてリスクグループ4に分類されるエボラウイルス、マールブルグウイルス、ラッサウイルス、南米出血熱ウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルスなどの病原体を考えています。
長崎大学では、BSL-4施設をどのような目的で使用する考えですか?
BSL-4病原体による感染症に対する診断技術や治療法の開発、病気が起こるメカニズムを明らかにするための研究などを行います。感染症の制圧に取り組む研究者の育成も重要な目的です。また、BSL-4病原体に感染が疑われる患者の検体も検査します。

2 thoughts on “長崎大学

  1. shinichi Post author

    長崎大学が検討するBSL-4施設について

    長崎大学

    http://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/bsl4/about/

    BSL-4施設は、さまざまな感染症から社会を守り、社会の安全・安心を確保することを目的としています。したがって、施設自体の安全性に対する信頼を得ることが必要です。そのためには、地震や台風等の自然災害への対策、廃液や排気への対応、施設使用に伴う手順や研究者のトレーニング、施設の監視体制などに対して感染症予防法などやWHOの指針などにより設定された厳しい要件を満たさなければなりません。

    まず、病原体を安全に取り扱うための基準があります。さらに、施設の基準があります。BSL(バイオセーフティレベル)とは、細菌・ウイルスなどを取り扱う実験施設の分類です。取り扱うことのできる病原体の危険度は、致死性、感染性、伝搬様式(例えば空気感染、食物感染等)、病原体の自然界での生存能力などを勘案して4つのレベルに分けられており、もっとも厳しい基準がBSL-4です。ヒトまたは動物に感染症を引き起こすうえ、感染能力が高く、かつ有効な治療、予防法がない病原体にも対応できる安全性を備えた施設がBSL-4施設です。例えばエボラウイルス、マールブルグウイルス、天然痘ウイルスなども実験施設内に完全に封じ込めて取り扱うことができます。

    ウイルス・細菌などの病原体は生物学的な危険度に応じて分類されています。実験室での取り扱いにあたり、その病原性、ワクチンや治療法の有無、公衆衛生上の重要性を考慮してBSL(バイオセーフティーレベル)-1~4に分類されており、BSL-4は最も厳しい基準です。


    BSLlevel


    BSL-4施設にはグローブボックス型実験室とスーツ型実験室の2つの種類があります。前者はセーフティーキャビネットに備え付けられたグローブで操作するタイプで、操作の自由度が限定されます。それに対して、後者は実験者が宇宙服型の陽圧気密防護服を装着しているため、前面開放型のセーフティーキャビネットで比較的自由に操作できます。そのため、近年新設されているBSL-4施設は、ほとんどがスーツ型実験室です。

    施設の建設については耐震基準に基づいた耐震安全性を確保します。施設の運用については病 原体等の漏洩がないようにWHOの基準である「実験室バイオセーフティマニュアル」を遵守します。また、安全性確保のための設備の点検、緊急時の処理と連絡方法についても具体的に規定を整備します。

    BSL-4実験区域内の器具、廃液はすべて、加熱処理や燻蒸消毒、化学的な処理などによる殺菌を行い、排出する前に完全に汚染を除去します。また、室内の空気は2層の「ヘパフィルター」を通して排気し、病原体が戸外に出ない構造になっています。実験室内の作業が安全に行われていること、ヘパフィルター、滅菌、排水処理施設等の設備が適切に稼働していることをモニタリングし、作業及び環境の安全管理を徹底いたします。さらに、自然災害時に備え、施設稼働に十分な能力をもつ非常用電源装置を整えます。

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