gooddo マガジン

平成が終わり、新たな時代「令和」が幕を開けました。
日本でも人工知能や宇宙開発など一昔前では考えられなかった技術がどんどん発展しています。
しかし、そういった社会の進歩とは裏腹に貧困に悩む子どもの多さが問題となっているのです。
厚生労働省「平成28年 国民生活基礎調査の概況」のデータによると、子どもの貧困率は13.9%。およそ7人に1人の子どもが貧困状態に陥っています。
そして、貧困にあえぐ子どものいるひとり親家庭の多くはシングルマザーです。
ひとり親世帯についての国の調査によると、平成27年の父親自身の平均年間就労収入が398万円。対して、母親自身の平均年間就労収入は約半分の200万円です。
母親が仕事で昼夜を問わず働いている場合、子どもたちは学校が終わった後の時間を、一人きりの家で過ごすケースも多く生まれています。

3 thoughts on “gooddo マガジン

  1. shinichi Post author

    先進国で最悪レベル…。7人に1人の子どもが貧困状態な日本。
    子ども達に教育の機会を作るため、放課後学校で働くスタッフの思いとは?

    gooddo マガジン

    (2017)

    https://gooddo.jp/magazine/add/katariba-12b-questions-2/

    日本は先進国でありながら「子どもの貧困率」が高く、貧困家庭で育つ子どもへの影響が問題となっています。 実に7人に1人の子どもが貧困の状態にあるといわれており、これは先進国の中で最悪のレベルです。

    貧困で苦しむ子どもたちはどんな暮らしをしてるのでしょうか。 また、そうした子どもたちのために開かれている放課後学校とはどのような場所なのでしょうか。

    Reply
  2. shinichi Post author

    先進国で最悪レベル「子供の貧困」 なぜ豊かな日本で解決できないのか

    産経新聞

    (2015)

    https://www.sankei.com/article/20150516-2XIUW35L7VM2PLNPOPRHLX5LS4/

    日本の子供の貧困率は今、先進国の中で最悪レベルにあるという。貧困は、子供の教育機会を奪うだけでなく、豊かな日本社会の将来のツケとして暗い影を落とす。少子高齢化、無縁社会…。わが国の未来は、貧困などの危機にある子供たちに託すしかない。貧困が貧困を生む、この見えにくい現実について考えたい。

     豊かな日本社会なのに子供の貧困問題が深刻化している。昨年、厚生労働省が発表した「子供の(相対的)貧困率」は過去最悪の16・3%に上り、6人に1人の約325万人が「貧困」に該当する。豊かな先進20カ国のうち、4番目の高さにある。

     だが、この6人に1人という数字を見て、疑問を持つ向きもあるだろう。日本は経済大国である。「相対的」というぐらいだから、豊かな日本では貧困であるという基準が高く、このような驚くべき値が出てしまうのではないか。

     この基準、貧困ラインは個人単位の額である。平成24年では年額122万円となるが、子供の場合、単身で暮らすことは少なく、これでは具体性に欠ける。世帯単位に換算してみると、親と子1人ずつの一人親世帯(2人世帯)で年額173万円、月額約14万円、親子4人世帯で年額244万円、月額20万円余りにしかすぎないのである。

    Reply
  3. shinichi Post author

    内閣府の子ども貧困調査が描き出す「不都合な現実」

    by 大山典宏

    (2021)

    https://wedge.ismedia.jp/articles/-/25314

     2021年12月24日、内閣府は子どもの貧困に関する初めての全国調査の報告書を公表した。クリスマスの夜にあわせて発表されたこの報告書は、10年後に、「あの報告書が子どもの貧困対策のターニング・ポイントだった」と評価されるかもしれない。

     報告書の正式名称は、「令和3年 子供の生活状況調査の分析 報告書」(以下、「報告書」)という。13年に子どもの貧困対策の推進に関する法律(子どもの貧困対策法)が制定されてから、都道府県や政令指定都市などを中心に、同じようなタイトルの調査報告書は数多く発表されてきた(子どもの貧困調査研究コンソーシアム「子どもの生活実態調査(子どもの貧困対策事業)実施都道府県」)。

     しかし、報告書は、「政策実行を求める数字を集める」という点で、今までのものとは一線を画している。その特徴は、貧困の実態把握、制度補足率の把握、オープン・アクセスの3点が挙げられる。また、内閣府は、報告書を自治体の子どもの貧困対策の「通信簿」の雛形となることを期待している。

     この動きに自治体が追随するかどうかは、現時点ではわからない。なぜなら、報告書は、国や自治体、そして私たちが目をそらし続けてきた「不都合な現実」を映し出す鏡のような存在だからである。

     今回の連載では、内閣府の報告書を読み解くことで、現在の子どもの貧困対策に求められているもの、突破口を切り開く鍵を考えてみたい。

    「食料買えない」経験が4割、子どもの進学にも影響

     報告書は、家庭の経済状態の子どもへの影響を把握するため、全国の中学2年生とその保護者5000組を対象に、20年2月から3月にかけて郵送で調査したものである。半数を超える2715組から回答を得ている。

     まずは、報道機関の反応を見ていこう。12月28日現在で、NHK、朝日新聞、共同通信などが報道している。各社が言及しているのは、貧困層やひとり親世帯の生活苦の現状と、特に大学進学への影響である。

     現在の暮らしの状況について「苦しい」または「大変苦しい」と回答した割合は、全体では25.3%なのに対し、貧困層では57.1%、ひとり親世帯では51.8%となっている。また、「食料が買えなかった経験」は全体が11.3%に対して、貧困層では37.7%、ひとり親世帯では30.3%となる。「大学またはそれ以上に進学したいと思う子どもの割合」は、全体が49.7%なのに対し、ひとり親世帯が34.4%、貧困層28.0%となっている。

     NHKでは、野田聖子少子化担当大臣の「子どもの貧困対策の重要性を痛感している。現状を十分把握して必要な施策を進めたい」とのコメントを紹介している(NHK、21年12月24日)。

     12月28日には、岸田文雄首相や野田大臣の出席のもと、政府は新型コロナウイルス禍で深刻化する孤独・孤立対策の重点計画を発表した。その伏線と読み取ることができるだろう。

     朝日新聞は、内閣府の担当者と2人の有識者のコメントを紹介している。内閣府の担当者は、「今回の全国調査のデータを参考に、各自治体の実情に応じた施策を進めてもらいたい」と述べる。

     一般社団法人ひとり親支援協会の今井智洋代表理事は、自治体間の支援格差を指摘したうえで、「今後は各自治体が内閣府が示した調査方法を基本に地域の貧困実態を調べ、データに基づく政策展開をしてほしい」と話す。日本大学の末冨芳教授は、貧困層だけでなく準貧困層も課題を抱えていることが明らかになったとしたうえで、調査のサンプル数の拡大や5年ごとの定期的な実施といった改善点を指摘する(朝日新聞デジタル、21年12月24日)。

     内閣府では、今回の調査を雛形として、同じ質問項目による調査を都道府県・市町村が継続的に行っていくことを期待していることがわかる。統一した指標に基づいて調査が行われることになれば、それが自治体の子どもの貧困対策の「通信簿」となる。

     これに対して、共同通信の配信記事では、「頼れる人少なく公的支援使えず」という中見出しを立てて、公的な支援制度の存在を知らない、手続がわからないため利用できずにいる世帯が存在することを紹介している(静岡新聞、21年12月25日)。

     筆者の問題意識にも重なる部分であり、報告書の〝核〟となりうる部分である。この点について、詳しくみていこう。

    公的支援制度が使われていない

     報告書では、「支援の利用状況や効果等」という項目を立てて、支援制度の利用状況と、利用していない場合にはその理由を聞いている。全体、準貧困層、貧困層、ひとり親世帯と細かい分類があるが、ここでは貧困層のものをみていこう。

     なお、前提として、貧困層の収入基準の上限と生活保護基準はおおむね均衡している。つまり、貧困層は、収入基準だけでいえば生活保護を利用できる可能性のある人たちである――。このことを念頭に置きながら、データを読み取って欲しい。

     まず、貧困層の支援制度の利用状況をみていこう(図1)。就学援助が58.6%や児童扶養手当が46.2%と5割前後の利用になっている。これに対し、生活保護は6.0%の利用に留まっている。以前利用したことがある2.7%を含めても、1割に満たない。生活困窮者の自立支援相談窓口の利用は1.0%。母子家庭・自立支援センターは1.4%であり、相談機関としてほとんど機能していないことがわかる。

     次に、支援制度を利用していない理由をみていこう(図2)。就学援助、生活保護、生活困窮者の自立支援窓口、児童扶養手当は、どれも7割から8割の人が、「制度の対象外(収入等の条件を満たさない)だと思うから」と回答している。たとえば、就学援助や児童扶養手当については利用率が約5割であり、所得要件やそもそもひとり親ではないという理由から制度の対象外となることはありうる。しかし、生活保護や生活困窮者の自立支援相談窓口において、7割を超える人たちが「制度の対象外」となることはありえない。

     まず、生活保護についてみていこう。先に述べたように、貧困層の収入基準の上限と生活保護基準はおおむね均衡している。生活保護は複雑な仕組みであると言われるが、根幹の部分はシンプルな制度である。世帯収入が国で定める最低生活基準を下回る場合に足りない部分が保護費として支給される。

     たしかに、預貯金が何百万円もある場合には申請は却下されるし、住宅ローン付きの持ち家や自家用車がある場合には処分を求められることがある。しかし、それ以外の要件は、実は法令上それほど厳しいものではない。9割を超える「利用したことがない」人たちは、申請すれば相当数が生活保護を利用できるのである。

     また、生活困窮者の自立支援相談窓口はそもそも所得要件がなく、生活に困っていれば誰でも相談できる。相談者を排除しないことを売り文句にはじめた制度が、利用者にほとんど認知されていないというのは、何とも皮肉な話である。

     これまでの調査では、貧困世帯の厳しい生活状況を明らかにすることには熱心だったが、それをどう解決するのかという視点に欠けていた。今回の調査では、生活保護に代表される救済策を利用していない世帯が相当数にのぼること、そして、その多くが自分は制度の対象外だと考えていることが明らかになった。つまり、制度の補足率の低さがはっきりと示されたのである。

     対策は誰でも思いつく簡単なものである。国や自治体が「あなたは生活保護が利用できます。ぜひ申請してください」と呼びかけることである。また、「何が申請を阻害しているのか」を調べ、より利用しやすい制度にするための方策を考えていくことである。

    オープン・アクセスで浮かび上がる自治体間格差

     どの報道機関も触れていないが、報告書にはもう一つ、ターニング・ポイントとなりうる重要な要素が存在する。それが、個別の調査票情報へのオープン・アクセスである。

     個別の調査票情報にアクセスできれば、生活保護基準以下の収入の人のうち、「制度の対象外だと思うから」と回答する人の数、その属性の特徴も把握できるようになる。制度を知らないがゆえに、食事が買えなかったり、進学をあきらめる子どもの割合もわかる。

     子どもの貧困対策が進まない要因の一つに、せっかく自治体がデータを集めても、調査票情報が公開されないという問題があった。19年2月には、日本は国連子どもの権利委員会から、子どもの貧困などに関するデータ収集システムを改善するとともに、当該データを政策立案およびプログラム策定のために活用するよう勧告を受けている。今回の調査で収集した調査票情報は、統計法に基づき、学術研究者らが研究分析に用いることが可能となっている。

     それでは、内閣府が意図するように、今回の調査票をもとに自治体が調査を行うようになり、その調査票情報に外部研究者がアクセスできるようになると何が起きるか。簡単にいえば、「子どもの貧困対策自治体ランキング」が作成可能になる。

     たとえば、貧困層に対する生活保護をはじめとした支援策の利用率や認知率、必要な人が利用できるように配慮した対応がなされているのかといった指標を自治体間で比較できるようになる。今回は詳しく取り上げていないが、学校は貧困層の子どもたちが「理解できる授業」を提供できているのか、経済的理由で部活動に参加できない子どもに教育委員会や学校はどのような対応をしているのか、といったことも検証可能となる。

     加えて、定期的に調査を行うことで、「5年前と比べて、子どもの貧困対策は進んだのか」を評価することもできるようになる。自治体間格差が可視化されることで、何もやっていない自治体には厳しい評価が下されることになるだろう。

     もちろん、国も無関係ではいられない。「自治体をどのように指導してきたのか、これからどう指導していくのか」が問われることになる。制度の内容ではなく、サービスの質が問われることになるのである。

     ただし、内閣府の旗振りに自治体が応じるかどうかは、現時点ではわからない。応じるにしても、調査項目をこっそりと入れ替えたり、面倒な手続きを増やして実質的にクローズドなオープン・アクセスのしくみをつくることもできる。面従腹背は役人の十八番なのだから。

    私たちにも突きつけられる「不都合な現実」

     このように、「政策実行を求める数字を集める」という点で、報告書のもつ意義は大きい。しかし同時に、報告書は、国や自治体はもちろん、私たちにも「不都合な現実」を突き付けてくる。それは、「貧困層の多くは自分たちが生活保護を利用できることを知らず、そのことによって生活保護費の膨張が抑えられている」という現実である。

     思い浮かべて欲しい。中卒や高校中退の低学歴で、10代で同じような生活歴の男性と「できちゃった結婚」をして妊娠、出産。性格の不一致ですぐに離婚して生活困窮に至る。子育ての能力も十分ではなく、遊びを優先しがちで社会規範にも乏しい。あえて偏見を助長しかねない刺激的な表現を用いるが、貧困層に分類される人のなかには、第三者からみると努力していないようにみえる人たちが一定数存在する(もちろん、昼夜を問わずに働いて子育てをしっかりするシングルマザーもたくさんいることは、強調しておきたい)。

     子どもの貧困対策、とりわけ経済給付を進めるということは、こうした人に「どうぞ生活保護を利用してください」と呼びかけることである。現在の社会にこうした寛容さはあるのだろうか。

     社会教育学者の舞田敏彦氏は、コロナ禍で最も痛手を被ったのはシングルマザー世帯のはずなのに、なぜか生活保護の利用は減少傾向にあり、母子世帯をターゲットにして生活保護を削減しようとする意図があるのではと指摘している。(Newsweek、21年12月22日)

     生活保護が若者を排除するシステムについては、筆者も一冊の本にまとめている(『生活保護vsワーキングプア 若者に広がる貧困』PHP新書)。もう10年以上前の本になるが、基本的な構造は変わらないか、むしろ悪化しているようにさえみえる。

     こうした社会背景のなかで、報告書は子どもの貧困対策のターニング・ポイントとなるのか。それとも、他の多くの政府報告書と同じように忘れ去られてしまうのか。静かな関心をもって、見守っていくことにしたい。

    Reply

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *