地球が予想より速く冷えている(ETH Zürich)

地球は数十億年をかけ、ゆっくりと冷えていっている。45億年前に地球が誕生した際、その表面はマグマの海に覆われていた。以来、熱を放出することでゆっくりと冷却され、現在のような冷えた地殻がある状態となった。いまでも中心部のコアは極高温だ。その熱で中間層のマントルが熱せられ、深部と地表付近の間を対流している。プレートの移動や火山活動などは、このように地球が熱をもちマントルが動いている証拠だ。しかし、いずれはさらなる冷却によって、こうした活動も停止すると考えられている。問題はいつまで継続するかだ。

2 thoughts on “地球が予想より速く冷えている(ETH Zürich)

  1. shinichi Post author

    地球内部が予想よりはるかに速く冷えている スイス研究

    NewSphere

    https://newsphere.jp/national/20220121-2/

     スイス工科大学チューリッヒ校(ETHZ)などの研究者たちはラボでの実験により、地球のコアの熱を封じ込めているのと同じ物質の熱伝導率を調査した。これまで考えられていたよりも伝導性が高いことが判明し、予想より早く地球が熱を失う可能性が出てきた。

    ◆誕生以来、冷え続ける地球

     地球は数十億年をかけ、ゆっくりと冷えていっている。45億年前に地球が誕生した際、その表面はマグマの海に覆われていた。以来、熱を放出することでゆっくりと冷却され、現在のような冷えた地殻がある状態となった。いまでも中心部のコアは極高温だ。その熱で中間層のマントルが熱せられ、深部と地表付近の間を対流している。プレートの移動や火山活動などは、このように地球が熱をもちマントルが動いている証拠だ。しかし、いずれはさらなる冷却によって、こうした活動も停止すると考えられている。問題はいつまで継続するかだ。

     ETHZの村上元彦教授(地球惑星物理学)は、米カーネギー研究所の研究者たちの協力を得て、この謎の解明に挑んだ。キーとなるのは、コアとマントルの境界部分の層の熱伝導率だ。コアとマントルは温度差が非常に大きく、この層がどれほどの効率で熱を伝導するかが内部熱の放出効率に大きく影響する。教授たちは特殊な測定機器を開発し、地球深部の圧力と温度条件を再現することで、この境界層を主に形成する「ブリッジマナイト」と呼ばれる鉱物の熱伝導率を再現した。

    ◆想定上回る熱伝導率を観測

     測定の結果、ブリッジマナイトの熱伝導率は従来の想定のおよそ1.5倍にも達することが判明した。今回の研究により、想定よりも早い段階でマントルの動きが弱まり、プレートテクトニクスが減速する可能性が示された。さらに村上教授によると、冷却が進むことでさらに熱放出に拍車がかかるのだという。ブリッジマナイトが冷やされると、ポストペロブスカイトという鉱物に変化する。ポストペロブスカイトはブリッジマナイトよりも熱伝導率が高いため、マントルの冷え込みが加速する可能性がある。

     村上教授はETHZのプレスリリースを通じ、「私たちの研究結果は、地球のダイナミクスの進化について新たな視点をもたらす可能性があります。水星や火星などほかの岩石惑星と同様、地球もまた冷却されており、想定よりも相当速く非活動的になりつつあることを示唆しています」と説明している。論文は1月15日付で、科学ジャーナル『アース・アンド・プラネタリー・サイエンス・レターズ』に掲載された。

    ◆いずれは生命に適さない環境に

     地球が熱を失うことで、遠い将来には生命に適さない環境となることも起こり得る。米NBC(1月20日)は、「この惑星(地球)のコアは数十億年も熱を失い続けているが、ひょっとすると『想定よりも急速に』失われており、地球上の生命の終えんを早めるかもしれない。もっとも、当面の話ではないが」と報じている。現在はマントルの対流によって磁場が発生しているが、冷却によって対流が弱まれば磁場が失われ、有害な宇宙線が地表に降り注ぐことになる。「そうなれば、地球は不毛で生存に適さない岩の塊となる」とNBCは述べる。今回の研究では具体的な時期に触れていないが、参考までに従来の研究として2013年、英イースト・アングリア大学のアンドリュー・ラシュビー教授が予測を示している。それによると地球が生命を育める期間は、あと17.5億年から32.5億年ほどとのことだ。

     米USAトゥデイ紙(1月19日)も、研究結果が「この惑星に人間がどれほど長く住めるのかという疑問を投げかけている」と報じた。ただし村上教授は同紙に「数億年、あるいは数十億年」の時間軸の話だとも述べ、喫緊の身の危険を示すものではないとも補足している。

     研究により、気の遠くなるような遠い未来の地球の姿の可能性が示されることとなった。

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  2. shinichi Post author

    Earth’s core is rapidly cooling, study reveals. Is our planet becoming ‘inactive’?

    by Scott Gleeson
    USA TODAY

    https://eu.usatoday.com/story/news/world/2022/01/19/earth-interior-cooling-faster-study/6576214001/

    Earth’s interior is cooling faster than we previously estimated, according to a recent study, prompting questions about how long people can live on the planet.

    There’s no exact timetable on the cooling process, which could eventually turn Earth solid, similar to Mars. But results from a new study, published in the peer-reviewed journal Earth and Planetary Science Letters, focuses on how quickly the core may cool by studying bridgmanite, a heat-conducting mineral commonly found at the boundary between the Earth’s core and mantle.

    “Our results could give us a new perspective on the evolution of the Earth’s dynamics,” ETH Zurich professor Motohiko Murakami, the lead author of the study, said in a press release. “They suggest that Earth, like the other rocky planets Mercury and Mars, is cooling and becoming inactive much faster than expected.”

    While the process may be moving quicker than previously thought, it’s a timeline that “should be hundreds of millions or even billions of years,” Murakami told USA TODAY.

    The boundary between the Earth’s outer core and mantle is where the planet’s internal heat interaction exists. The scientific team studied how much bridgmanite conducts from the Earth’s core and found higher heat flow is coming from the core into the mantle, dissipating the overall heat and cooling much faster than initially thought.

    “This measurement system let us show that the thermal conductivity of bridgmanite is about 1.5 times higher than assumed,” Murakami said in the press release. “We still don’t know enough about these kinds of events to pin down their timing.”

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