経済成長(向山敏彦)

経済成長、とは誰もが日常的に聞く言葉だと思う。経済成長は世の中の活力にとって大切だ、と議論する人々がいる一方で、経済成長は環境によくないから止めるべきだ、と議論する人々もいる。「政府はどのような成長政策を実施すべきか」のような政策議論も盛んである。しかしながら、経済成長とは何か、と問われるときちんと答えるのは意外と難しい。ここではマクロ経済学の立場から説明を試みたい。
マクロ経済学でいう経済成長とは、時間を通じて国内総生産(GDP)が増えることである。では、GDPとは何かというと、国内で生産される付加価値の総和のことである。では付加価値とは何かというと、企業が財(やサービス)を生産するプロセスで「付け加えた」価値のことである。例えば自動車を造る会社を考えると、売った自動車の価値から部品会社への支払いを差し引いたものが「付加価値」となる。まとめると、経済成長というのは国内で新たにつくり出される総価値の増加である。
では、「価値」とは何か。哲学者に尋ねたら、何冊も本が書けるほどの答えが返ってくるかもしれない。しかしながら、経済学者の答えは簡単で、「価値」とは「価格×数量」のことである。だから、経済成長とは、時間を通じて「価格×数量」の和が増えること、となる。

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