大地震のテールリスク(菊池誠一)

南海トラフ巨大地震・首都圏大地震のような大地震が突然 起きた場合「どれだけの幅で株価が下がるのか}だが、日経平均株価でみて短期的には1万円を割ってしまうのは当然であり、場合によっては7000円割れ、最悪のシナリオを描くと5000円割れを覚悟すべきかもしれない。
次には「どれぐらいの間、株価低迷が続くのか」だが、場合によっては10年以上、あるいは20年間以上もかかって、やっと回復へといった状況も想定できる。内外の株式市場の歴史を振り返ると、株価低迷を生んだ原因はいろいろだが、20年間ぐらい低迷が続いたことは珍しくない。
為替相場については、常識的に考えれば、円相場が大きく下がるとみていい。海外から日本の株式、債券などに投入されている資金が、一斉に逃げ出そうとするからだ。しかし円相場が、たとえば対ドルでどこまで下がるのかとなると、事前にはなかなか読めない。一時的に1ドル=200円を超える水準にまで下がっても不思議ではない。
ただ、円相場について投資家が留意すべきことは、3・11が起きたとき、週が明けてからニューヨーク市場で円が急上昇し、歴史的な「円高現象」が出現したこと。その後も1年半にわたり円高が続き、日本株は低迷した。どうして円高になったのか。この点はいまだにわからない面が多い。研究者だけでなく、市場関係者の多くも疑問に思っているようだ。

One thought on “大地震のテールリスク(菊池誠一)

  1. shinichi Post author

    大地震の「テールリスク」に、投資家はどう備えるべきか?

    菊池誠一氏に聞く

    by 島大輔

    https://shikiho.toyokeizai.net/news/0/123877

    起きる確率はそう高くはないが、いったん起きると、巨大な影響を及ぼすことが予想される事象を「テールリスク」という。日本列島やその周辺で起きる大地震は、典型的なテールリスクである。日本経済新聞社で経済・産業記者、格付けアナリストを務め、その後、大学教授に転じた菊池誠一氏は、テールリスクの象徴ともいえる大地震と株式投資の関係に着目し、著書『大地震と株式投資』(日経BP社刊)で詳細な分析を展開している。投資家が大地震にどう備えるべきか、菊池氏に聞いた。

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    事前に打つべき手段は二つある。まずは投資家が抱えている運用資金(金融資産)について地域的な分散を図ること。資金を100%「円の世界」にとどめていると、突然のイベント発生で資金全体の半分ぐらいがいっぺんに吹き飛ぶことになりかねない。

     最初に、海外資産への分散投資、特に米ドル建て資産への投資がスタートになる。米ドル建てMMF、米ドル預金、米国株、米国の資産で運用する投資信託(米国リートなど)が投入先となる。と同時に、香港市場やシンガポール市場を含むアジア株式などへ資金を分散投入し、さらなる分散を図っておく。もし可能なら、資金全体に占める海外資産の比率は、3割ぐらいはほしい。

     二つ目の対応策は、投資対象の商品(株式、債券、為替など)の価格が下がったら、逆に上昇するように設計された「ベア型商品」を買っておくことである。最近ではベア型ETFや日経平均株価とは逆に動くVI型の商品、米国のVIX(恐怖)指数に沿って動くETFなどが売られている。これらの商品をあらかじめ仕込んでおく。

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    3000万人以上が集中して住み働く首都圏、生産施設が並ぶ東海地方にこれだけの経済活動・資産蓄積が進んでしまった以上、「こうすれば、すべて大丈夫」といった対応策は見つからない。投資家は部分的でいいから、損失を穴埋めできる対応策で「投資家としての生き残り」を図るのが正解だろう。

     一方、投資家個人についても、特にシニア層、リタイア層の投資家に言いたいのだが、首都圏や東海地方に住み続けることの是非を考え、必要と判断するなら地方への移住も実行すべきだろう。

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