吉永南央

有名なお寺ですから普段は人が多いんですが、早朝はとても静かです。誰もいない境内の奥の方からふっと読経がきこえてきたり、時には掛け軸を出し入れしている珍しい光景を目にしたり。ゆっくり静けさを味わえるのは京都に住む特権ですね…

お気に入りの『猫道』の1つなんです。猫が通るという意味ではなく、私が猫の立場(笑)。なるべく誰もいない方へひっそりと…

水の音が好きなんですよね。ここは特に立派なお宅が多いので、職人さんたちが家や庭をよく手入れしていて、『この間から作業が進んだな』なんて確認するのも楽しいんです。京都の人ってやはり、自宅のお庭とか、お店も、構えないのにちゃんと美しくしつらえているから、ありがたい…

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One Response to 吉永南央

  1. shinichi says:

    人気作家がみつけた京都・癒しの散歩道
    「そうだ 京都、居たんだ」
    関東が舞台の『まひるまの星』が京都で生まれたワケ

    文春オンライン」編集部

    http://bunshun.jp/articles/-/1157

     2004年に作家デビューして以来、「紅雲町珈琲屋こよみ」シリーズが累計50万部を超えた人気作家の吉永南央さん。最新作『まひるまの星』は1年前に引っ越したという京都・岡崎の地で執筆された。

    「作品の舞台は、北関東のとある町なんですが、主人公のおばあさんが営むのは『珈琲豆と和食器の店』。仕入れや品物について京都も登場しますし、今回描いた町の大きなお祭り、関わる人たちの様子は京都のお祭りにも共通するものを感じます。祇園祭では、まだ準備中なのに『屏風見て行って』なんてお家に招き入れていただいたり、解体作業が見られたりしたのが興味深かった。

    京都の人って、余所者をなかなか受け入れてくれないなんて言われますよね。でも住んでみて感じるのは、みなさん親切だし、人間に余裕がある感じ。先日も八百屋の店先で『そのレンコンじゃなくて、こっちにしとき』って、知らない女性にいきなり声をかけられて、1番いいレンコンを私に差し出して『おばちゃんはこっちの2番目のでええわ』って(笑)。観光で来たときとは違う魅力を日々感じています」

    ●おいしい朝食が500円くらいで楽しめる!

     日常の家事や仕事をあわただしくこなしつつ、一歩外に出ると「そうだ、京都に居たんだ」と新鮮な気持ちになるという吉永さん。

     夏は朝5時台から、冬は起きた時間によって毎日、家の近所を1時間近く散歩する。うらの岡崎公園、橋の近くの近代美術館、動物園に南禅寺、哲学の道、足を伸ばして法然院まで行くこともあるという。

     12月のある日、吉永さんの京都・左京区散歩に随行、普段着の京都を味わわせてもらうことにした。待ち合わせは岡崎・平安神宮に隣接するロームシアター京都内の「京都モダンテラス」。近年この施設と公園が整備され、明るく開放的な場所に生まれ変わったエリアだという。「朝ごはんが500円くらいでおいしくいただけるので、たまに来ます。時々前の公園でイベントも催されていて、眺めながら気持ちよい時間が過ごせるんですよ」

    ●図書館、美術館は穴場的スポット

     一息ついたあとは、いよいよお散歩開始。

     二条通を渡ったところにある岡崎公園交番もすでに風情がある(ように見える)。

    「ここは、婦警さんが多いという噂。痴漢が多くて、被害届をだすのに抵抗がないようにしてるという話ですけど(笑)」

     観光地の意外なあるある情報に納得していると、その先には京都府立図書館。前面のレトロな建物と正面に掲げたプレートの文字も風情あり。前庭の吹き抜け構造をのぞきこめば、閲覧室で勉強に励む人たちの姿が。こんな図書館に通うのは楽しそうだ。

     図書館の目の前には、鮮やかな朱色の大鳥居。空高くそびえたつ雄姿に見惚れていると、「大鳥居がすぐ目の前に見えるいいところにご案内します」と、吉永さんは目の前の国立近代美術館にスタスタと入っていく。受付の前を通り過ぎエレベーターで4階へ……なんと、大鳥居の最上部が窓いっぱいに迫っていた。

     背景の山並みと同じ高さで朱色が映えている。ここ国立近代美術館は、1階にも大きく窓をとって外の桜並木を目の前にみる広いエリアがある。椅子が一列外に向けて並べられてあり、自然の美しさを愛でながらのんびり、気持ちの良い時間を過ごせる(無料で)。

    ●早朝の南禅寺は普段と別の顔が

     美術館を出るともうそこは琵琶湖疏水沿いに遊歩道が走る美しい仁王門通。疏水の向こうには京都市動物園が見え、水の音、遊園地の牧歌的な景色とともに春は桜、秋は鮮やかな紅葉が頭の上を彩り最高の散歩道だ。

    「ここ歩くのはとても楽しいです。向こう岸の動物園をなんとなく見ると、ん? あれはキリンの頭だぞ、なんてことも(笑)」

     疏水記念館の噴水をぐるりとまわり、参道で気分もあがりつつ南禅寺の大きな門に到着。

    「有名なお寺ですから普段は人が多いんですが、早朝はとても静かです。誰もいない境内の奥の方からふっと読経がきこえてきたり、時には掛け軸を出し入れしている珍しい光景を目にしたり。ゆっくり静けさを味わえるのは京都に住む特権ですね」

    ●美しいしつらえの庭、家屋、カフェを堪能できる「猫道」

     境内の空気を味わいながら野村美術館の方に抜け、観光客にも知られる永観堂へ……と思いきや、吉永さんは細い疏水沿いの小道に入ってゆく。

    「お気に入りの『猫道』の1つなんです。猫が通るという意味ではなく、私が猫の立場(笑)。なるべく誰もいない方へひっそりと……」

     水の流れに沿った岸の細いスペースを歩くと、立ち並ぶ家家の生活の気配が感じられ、かやぶき屋根の立派な門、美しい椿の生垣などが続く南禅寺別荘群。

    「水の音が好きなんですよね。ここは特に立派なお宅が多いので、職人さんたちが家や庭をよく手入れしていて、『この間から作業が進んだな』なんて確認するのも楽しいんです。京都の人ってやはり、自宅のお庭とか、お店も、構えないのにちゃんと美しくしつらえているから、ありがたい……」

     別世界のようだった小道を抜け、再び二条通へ。行き先に有名観光地が表示されたバスが行き交う。どこからともなく、ただならぬ魅力の甘い匂いが漂ってくるのは……。

    「お茶にしましょう、お菓子がおいしいし素敵なお店なんです」

    「菓子・茶房チェカ」の扉を開けると、美しくおいしそうなお菓子がショーケースにずらりと並ぶ。プリンやケーキをそれぞれに選び2階へあがると、すっきりと落ち着く空間が現れる。大きな窓の外は、道を挟んで動物園。大学生のカップルが窓際でまったりと話し込んでいる。丁寧に淹れられたお茶をいただき、落ち着いた幸せな平日の時間をしっかりと手に入れた気分になった。

    ●京暮らしは「紅雲町のお草さん」にも影響するかも?

    「京都に来て以来、自宅を起点に、東西南北、毎日ものすごく歩いています。虚弱体質の私が健康になりつつあります。『紅雲町珈琲屋こよみ』の主人公は70歳を過ぎたおばあさんなのですが、もしかしたら今後もっと元気に動き回るようになるかもしれません(笑)」

     店を出るとそろそろ夕方の気配がたちこめている。法勝寺町バス停からバスに乗り、三条大橋方面へ向かった。新しくできたハイセンスのファッションビルや、適度ににぎわう錦市場、点在するアンティークショップ、そして御池通り沿いの、地元で大人気の居酒屋を最終地点にした街中散策は、また別の「さすが京都」の楽しさに満ちていたが、それはまた別の機会に。

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