仙波敏郎

僕が警察官になったのは18歳のときでしたが、間もなく僕は組織の中で日常的に不正がおこなわれていることを知りました、やがて領収書の偽造を依頼される日が来ることを予感していました。
その日がやってきたのが24歳、巡査部長に昇任し新任地の警察署に赴任した時でした。領収書の偽造は犯罪ですから、僕はためらうことなく偽造を拒みました。すると、署長に呼ばれました。
そのとき僕はまだ若造でしたけれども、署長に、「これはダメでしょう。こんなことをしていては日本の警察は将来大変なことになりますよ」と申し上げました。すると署長に、「組織の運営には金が要るんだ。君は組織を敵にするのか」と怒鳴りつけられましたよ。しかし、警察官が自ら犯罪を犯すことは許されません。だから、いくら怒鳴られても不正に手を貸すことはできませんでした。
僕には以後組織の敵という評価が付きまとうことになった。僕はその評価に甘んじてきました。

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