体の免疫機構は大きく「自然免疫」と「獲得免疫」に分けられます。
【自然免疫】体内に侵入した病原体などをいち早く発見し、最初に攻撃をしかける先天的な反応が「自然免疫応答」と呼ばれます。その役割を担うのが好中球、マクロファージ、NK細胞などです。
【獲得免疫】やや遅れて誘導されるのが「獲得免疫応答」です。初期攻撃で得た病原体などの特徴を記憶し、その特徴を目印にして、T細胞やB細胞が集中攻撃します。さらに、学習したこれらの免疫細胞は、次に同じ特徴の病原体が侵入すると素早く認識して攻撃し、防御できるようになります。
がん免疫療法で新たに注目される「NK(ナチュラルキラー)細胞」
がん治療 新時代 WEB
https://gan-mag.com/immunooncology/2885.html
がん細胞をいち早く攻撃、殺傷するNK細胞
人間の体は、細菌やウイルスなどの病原体、また正常な細胞が突然変異して生じるがん細胞などによって、常に危険にさらされています。それでも病気を発症せずにいられるのは、体を守る免疫システムが働いているおかげです。この免疫の中心的な役割を果たしているのが、「免疫細胞」と総称される細胞群です。
免疫細胞の正体は血液中の白血球で、下の表に示したように、それぞれの役割を担う免疫細胞が連携し、全体の免疫システムを保っています。中でもNK細胞は、病原体の発見と初期攻撃を担当しています。NK細胞が発見されたのは1975年。日本の仙道富士郎氏(元・山形大学学長)や米国のロナルド・ハーバマン氏(当時、ピッツバーグがん研究所教授)の研究により、独力で働き、がん細胞やウイルス感染細胞などを初期段階で攻撃する細胞が存在することが分かり、「ナチュラル・キラー=生まれながらの殺し屋」と命名されました。
免疫システムを担う細胞たち
「NK細胞の発見はT細胞よりも後で、まだ十分に解明はされていませんが、がん細胞を殺傷する能力があることが分かっています」。九州大学先端医療イノベーションセンターの高石繁生先生はこう説明します。
リンパ球のうちT細胞は、攻撃力は高いものの、樹状細胞などからの攻撃指令を必要とします。それに対し、NK細胞は常に体内をパトロールし、がん細胞やウイルス感染細胞などを見つけると単独でいち早く攻撃、殺傷します。これが「生まれながら(ナチュラル)の殺し屋(キラー)」という名前をもつ所以(ゆえん)です。
「自然免疫を担うNK細胞は、獲得免疫のT細胞に比べて原始的と思われてきましたが、最近になり、NK細胞は複雑で高度な働きをすることが分かってきました。免疫は自分自身以外のものを攻撃・排除しますが、例えば妊婦さんの場合、母体の中にいる胎児は母親にとり「自分」ではありませんが、例え自分ではなくても、胎児を攻撃しないようNK細胞は高度な機構で調節しているのです」と飯野忠史先生。
白血球は戦う兵隊さん
市立御前崎総合病院
https://omaezaki-hospital.jp/category/se/
正常な白血球大きさは種類によって異なりますが6~30μm(1mmの千分の1が1μm)。血液1立方ミリメートル当り3500~9000個で赤血球数に比べ極端に少ないのが特徴です。白血球の構成は、顆粒球(50~70%)と単球(5%)とリンパ球(30~50%)に分類されます。顆粒球は好中球、好酸球、好塩基球の3種類があります。
今回はこの白血球(好中球について)の主な役割についてお話しします。
白血球は、病原体やウイルスなど、身体に進入してくる異物を取り込んで消化するのが特徴です。お城を衛る「兵隊さん」と同じです。 この兵隊さんは、普段血液中をあっちこっちとふらふらしていますが、体内で敵(異物)を発見するとアメーバ運動をしながら敵に向かって突進して行きます。敵を捕まえる時には、素手ではなく免疫ブログリンという「手」のような道具を使い捕まえます。この兵隊さんが敵を捕まえ、食べてしまい片づけまでする一連の働きを「貪食」といいます。
みなさんの体に細菌感染が起き、血液検査で調べてみると白血球数が多くなってきますこれは身体が敵(細菌)と戦ってくれるよう兵隊さん(白血球)を増やしてくれているからです。
寿命を迎えた白血球は、脾臓や肝臓で破壊されます。白血球の寿命は、赤血球(120日)の寿命よりも短く、数時間~数日程度となっています。短い命の兵隊さん(白血球)ですが、我々の身体(お城)を守るために、重要な役割を担っています。