Category Archives: heart

心を開けば
心が通い
心がひとつに合わさって
心が晴れる

心からの言葉が
心に染みて
心待ちにしていた
心持ちになれた

はかない心
まろやかな心
奥ゆかしい心
たおやかな心

心は heart ではない
心は cœur ではない
心は cuore ではない
心は corazón ではない

心が乱れ
心が飛び
心が着地し
心が慰められる

君の心
僕の心
ふたりの心
ひとつの心

心が痛いときには
心を休める
心はきっと 元気になる
明日はきっと みんな良くなる

心が緩む
心が静まる
心が癒される
心が温まる

心情

心情をあらわそうとして いろいろな言葉を使う
言葉を聞いて わかったつもりになる
時に 感動したり 共感したりもする

心情を言葉であらわしても なにか違う
そもそも 心情が 言葉になるはずもなく
ましてや 人に伝わるなど ありえない

微妙に変化し続ける心情を
繊細で感じやすい心情を
わかるなんて ありえない

心情は包まれて かくれている
言葉には はじめから 壁がある
心情を 言葉にすれば 嘘になる

やるせない 心細い せつない
わかったような わからないような言葉に
どれだけの意味があるというのか

憂いや悲しみを紛らわそうとしても
晴らしどころがなくて せつなくて
それで やるせない といったりする

でも ほんとうに やるせない かというと
なんか 心細くて もやもやしていて
どうにも 言葉では説明できない

心情を理解したり 心情の変化をつかんだり
心情を言葉で説明したり 心情を共有したり
そんなことは 誰にもできやしない

心情をあらわす言葉は 翻訳ができない
翻訳のできない言葉には 説明という嘘がつきまとう
心情をあらわす言葉のまやかしに ごまかされてはいけない

ペク・セヒ

我慢できないほどつらい時も、友だちの冗談に笑ったり、そうしながら心のどこかで虚しさを感じ、それでいてお腹がすいたからと、トッポッキを食べに行く自分が可笑しかった。ひどく憂鬱なわけでも幸せなわけでもない、捉えどころのない気分に苦しめられた。これらの感情が同時に起きるということを知らなかっただけに、なおさらつらかった。

痛み

小さなことを悲しむより
今日に感謝する

君を信じる
僕を信じる

痛みより
心地よさを

そして ぐっすり眠る
朝まで眠る

君にも 僕にも
きっと 朝が来る

心のありか

心が痛い
心が華やぐ
心が躍る
心が弾む
心がなにをしてもいいけれど
心はどこにあるのだろう
胸にある
脳にある
脊髄にある
末梢神経にある
感覚運動器官にある
皮膚にある
体の外にある
君のなかにある

僕の心が君のなかにあって
君の心が僕のなかにあったら
それはそれでおもしろいけれど
きっと困るだろうな

心のなか

想像が心のなかに浮かびあがる
感覚が心のなかに蘇る
心のなかは自由だけれど
心のなかの情景は その時だけ
二度と見ることができない

己の心は忌わしく
自らの心は息たえだえ
奴の心は怒る

今は心を念じ
次の心は恣(ほしいまま)にし
中の心は忠(まごころ)で
亦の心は恋しく
耳の心はなぜか恥だ

物の心は惣
音の心は意
士の心は志
田の心は思
串の心は患
亜の心は悪
徴の心は懲
欲の心は慾
休む心は恷
能の心は態
恕は心の如く
忿は心を分け
懲は心を徴し
懸は心に縣る

心の上の刃を忍び
心の上の台で怠ける

悲しいのは心に非ず
忘れるのは心が亡いからだ

門のなかの心は悶え
若い心に惹かれ
秋の心は愁い
相手の心を想う

感じる

静かさと共にいれば
心は落ち着き
言葉が多ければ
虚しさは増す
微笑を絶やさなければ
優しさが訪れ
悩みが多ければ
体は崩れていく
豊かさが過ぎれば
満足から遠ざかり
焦ったり急いだりすれば
どこにもたどり着くことができない
太陽の暖かさを感じ
水の清らかさを感じ
空気の流れを感じ
木を感じ石を感じる
そうすることで
自分を感じる
君と空を見上げる
君と海のかなたを見つめる
そして
二人を感じる

心でものを見る

心で見ることのできる君が
僕を好きと思う

心で見ることのできる君が
僕を嫌いと思う

君に好かれた僕は
自信に溢れ

君に嫌われた僕は
途方に暮れる

心で見ることのできる君が
僕をいいと思う

心で見ることのできる君が
僕をいやだと思う

君がいいと思った僕は
輝いている

君がいやだと思った僕は
沈んでいる

君に嫌われた僕も
君がいやだと思った僕も
どこかに消えてしまえ

予定調和

相手の俳優がどう演じても
それとは関係なく台本通りに演じる俳優

コード進行から外れることなく
頑なにルールを守ろうとするミュージシャン

ありとあらゆる制約に縛られ
何事もなく終えることに腐心する放送ディレクター

党が決めたことだからと
自分の考えとは違うことをする政治家

予定調和には こころがない
予定調和には 明日を良くする力がない

願い

私たちには願いがある
願いはいつも優しく
美しい

でも
願いは時に
思い込みと組み合わさって
危険なものになり
悲劇を生む

清らかな
願いはなぜか
不確かさと結びついて
あいまいなものになり
汚れてしまう

願いは
いつも届くとは限らない
いつも叶うとは限らない
いつも通じるとは限らない
でも
それでも
私たちは願う
心をこめて
命をかけて

根は地中に広がり
植物を土に固定し
地上の部分を支え
水や養分を吸収する

どんなものにも根があって
どこかに行ってしまうものを固定し
目に見えている部分を陰から支え
成長の基になるものを吸収する

文化の地下の根は
あらゆるところに広がり
消えるものを繋ぎ留め
花開くのを陰から支える

文化の地下の根は
人の心のなかにも広がり
ばらばらになるのを防ぎ
言葉や歴史を吸収する

文化の地下の根は
見ることも触ることもできないが
心を澄ませて触れてみれば
形をなぞることができる

この街の根も あの街の根も
同じ文化の地下の根に繋がっていて
同じ言葉と同じ歴史が
街を文化の色に染める

文化特有の色の嗜好や
生活習慣や考え方が
私のなかにも根づき
私を私の文化でいっぱいにする

文化は見ることができず
触ることもできないけれど
街を満たし
人々を満たす

根を絶やしてはいけない
根を育てなければならない

そして
そう
君を支える根を
忘れないでほしい
君を支える根は
ずっとここにいるから

感性は

感性が鋭くて
些細な感情の動きに気づく
普通なら見過ごしてしまうような
人が気づかないような
微弱な感情を拾う
狭く深いところまで入っていく
ひとりの人の気持ちに敏感な
感性がある

感性が豊かで
多くの刺激に反応する
人が気づかないような
さまざまな感情を拾うような
多種多様な感情を拾う
浅く果てしないところまで広がっていく
たくさんの人の気持ちに敏感な
感性もある

感性が鋭い人はそれを見せない
感性が豊かな人はそれを話さない

ほかの人が気づくことのない微細なことを
面白いと思う人がいる
ほかの人の目が捉えないさまざまなことを
面白いと思える人もいる
感じたあとで
そのことを上手に表現できる人がいる
感じても
それをうまく表現できない人もいる

敏感な人は
気配りをして無駄に疲れてしまったり
そうかと思うと
思いやりが空回りして傷ついてしまったりする
感じやすさは能力ではあるけれど
そんな能力はいらない時もある
感情は過ぎると
刃になる

感性があると理性がないと言われる
知性がないとも悟性がないとも言われる
感情におぼれて論理的に考えることができない
新しい認識を形成できないとも言われる

傷つきやすい人の感性はみずみずしく
石を見て涙ぐむ
木を見ても水を見ても涙ぐむ
でも
みずみずしい感性だけが時代を捉え
美しいものを創り出す
知能だけが時を進めるわけではない
論理がすべてではない

顔のない顔

どんな人の顔も
死ぬ前になれば
しっくりと落ち着き
安定感がでてくる

鏡のなかの顔は不安定で
なんとも落ち着きがない
たぶんまだ
死なない

間の抜けた顔が
どうしたら安定感のある
落ち着いた顔になるのか
想像もつかない

死ぬ前になれば
誠実さや正直さが
身についているとでも
いうのだろうか

この顔のない顔は
なにをしても
ちゃんとした顔には
ならないと思うのだけれど

山本幡男

古里遠く 異國に
君若くして みまかりぬ
夢に忘れぬ たらちねの
姿を永遠に 慕ひつつ

寒風狂ふ 北の涯
君若くして 世を去りぬ
暗き戰の 犠牲に
集ひてこゝに 弔はん
 

辺見じゅん

それぞれの遺書を読むことで 戦場とは戦争とは何かということを 私たちひとりひとりが自分自身に向かって問いかけることが 大切ではないか そう思っております

おそらくですね 記憶で運ばれた遺書というのは 前代未聞 これからも考えられないような気がするんですね

言葉というのは ことのはと書きますよね ほんとに ことのはなんです そして言霊でもある そこのなかに人間の魂が籠っている 人間が最後に残す言葉というのは ぐさっとささるし そして 染み入るんですね

伊藤義行

話が盛り上がっているところ申し訳ありませんが、ひとこと言わせてください。あの石は墓石とされていますが、三人(大杉栄・野枝・橘宗一)の御霊はきちんと弔われていません。ただただ、そこをお参りしてくださる方々の集合的な念が集まっているだけです。そんなに墓を公開し、多くの方が出入りするようになるのが、本当にいいことなのでしょうか。70年間、野枝の墓を掃除し、花を手向け、守ってきた者としてはどうかと思います。
また、山林の土地の管理者に対してどう考えるのか。見ず知らずの人が線香をあげることもあるだろうけれども、それをどうやって管理していくのか。自由意志について話が盛り上がっているようだけれども、そこに自己責任がつきまとうことを忘れないでいただきたい。それは野枝の生き方を汲み取っていけば、おのずと見えてくるはずです。もっと深く考えてほしいと思います。

白洲正子

ひたごころ
「ひたむき」な「こころ」の結晶

お金があればルオーはまた買えるだろうが、こんな美しい観音さまには二度と出会えまい。

宮嶋加菜子

その年の秋、孫さんはツイてなかった。
10月。銭湯に行こうと狭い路地を歩いていたら、蛇行運転してきた車にぶつかり、病院へ。車は逃げ、治療費を支払う羽目に。退院後、さらにバイトを増やした。
11月。料亭でのバイト中に腹が痛み出した。病院に行く金はない。我慢して働いた。次の日、アパートで動けなくなり、病院に運ばれ、腹膜炎で緊急手術を受けた。
病院食は少なくて、満たされなかった。なにより、異国の地で一人過ごす病室の夜は寂しかった。
そんな時、写真現像店の女性が、温かいうどんの丼を手に来てくれた。
「私にも孫さんと同じくらいの息子がいてね。シルクロードの文化が大好きで、夏休みに敦煌に行きました。中国で息子が困ったとき、親切な中国の人に会えたらいいな。そう思っていたんです」
当時は日本語がうまく話せず、「ありがとう」としか言えなかった。
その後、名古屋の大学院に進学。上海に戻って会社を起こした。
池袋にあった写真現像店は、いまはない。女性の名前は、たしか「木村さん」。でも、自信が持てない。だから、メッセージにはこう書いている。
《○村さん、あの時のうどんの味があったから、日本でも上海でも頑張れました。会って、ちゃんとお礼が言いたいです》

Elisabeth Kübler-Ross

We all know intellectually that we don’t have forever. We also know we can’t do it all. But intellect does not inform matters of the heart. Regrets are of the heart, the yearning for more and the chance to always do it better. Regrets will always belong to the past. And death has a cruel way of giving regrets more attention than they deserve.

Deborah Rozman

“Follow your heart” have been watchwords for centuries, and with good reason: We know instinctively our heart’s intuition yields the highest outcome. But if you’re like me, you may have found at some point in your life that following what you thought was your heart got you into trouble. For example, you might have felt guided by your desire to eat another piece of chocolate cake, but then you felt bad afterward. Or you were tingling and your heart beating fast about dating a certain guy, but it turned out to be a bad experience. Why?

山鳥重

心理学を志す学生たちは、多かれ少なかれ、他人を助けてあげたい、他人の悩みを分かち合ってあげたい、という熱く優しい気持ちを持って、大学に入ってきます。その学生たちに、心は脳が作り出す現象なので、心を分かるためには、脳のことや医学のことも少しは勉強したほうがいいよ、と言うと、多くの学生は「医学なんて関係ないよ」としり込みをします。「心臓は心の座でなく、血液循環系の中心だ」というと、裏切られたような顔をします。
入学したての学生たちの、こうした素朴な感受性を真っ向から裏切ることだけはないように、しかし、知識を積み上げる心だけでなく、君らが考える本当の心、胸にあると思っている熱い心も、やっぱり脳が生み出すのだよ、ということを教えてゆくわけですが、いささか苦心のいるところです。

Blaise Pascal

L’homme n’est qu’un roseau, le plus faible de la nature ; mais c’est un roseau pensant. Il ne faut pas que l’univers entier s’arme pour l’écraser : une vapeur, une goutte d’eau, suffit pour le tuer. Mais, quand l’univers l’écraserait, l’homme serait encore plus noble que ce qui le tue, puisqu’il sait qu’il meurt, et l’avantage que l’univers a sur lui, l’univers n’en sait rien.
Toute notre dignité consiste donc en la pensée. C’est de là qu’il faut nous relever et non de l’espace et de la durée, que nous ne saurions remplir. Travaillons donc à bien penser : voilà le principe de la morale.
Roseau pensant. — Ce n’est point de l’espace que je dois chercher ma dignité, mais c’est du règlement de ma pensée. Je n’aurai pas davantage en possédant des terres : par l’espace, l’univers me comprend et m’engloutit comme un point ; par la pensée, je le comprends.